Columbia(MPA) to Cambridge(MBA)

コロンビア大学(SIPA)、ケンブリッジ大学(MBA)の留学体験記です

学校の授業で学ぶモチベーションは何か?

「GPA doesn't gurantee your future success!」

 

オリエンテーションで2年生が強調していた。

 

SIPAは成績開示をする(CBSのようにお互いに成績を言わない協定がない)うえ、2年生で奨学金がもらえるかが秋学期の成績で決まるため、ものすごい成績のインフレが起こるし、みんなすごい勉強する。

 

自分も、将来に関係しそうな科目もあり、人並みには勉強している(つもり)である。ただ、学校の勉強を頑張るモチベーションを振り返ると、すごい変遷があるように思う。

 

①小学校

自分で言うのも気が引けるが、小学校の時は成績はかなりよかった。最近振り返ることがあったのだが、二つ理由があると思う。

 

(1)転校生であった

自分は途上国の現地の小学校から東京のとある小学校に転校してきた。新しい小学校は、地元の幼稚園から繰り上がる人も多く、正直、最初はかなり疎外感があった。何より、海外に中途半端にいたので、日本語も英語も下手なうえ、友達の話題にもついていけないことが、疎外感に拍車をかけた。この負の感情から、成績だけでも他の人を圧倒して、嘗められないようにしていたのだと思う。

 

(2)褒められるのが好き

小学校の頃、家族を中心に褒めるのがうまい人が多かった。祖父の手入れしている庭の奇麗な植木の上に座って、植木を潰してしまった時も、「こんなところに座るなんて、独創的だ」と褒められてた記憶がある。また、ある時は、テレビで「ドラマの雪は発砲スチロールで出来ている」と聞いたので、実験したくなった。そこで、ベランダから発砲スチロールをバラまいたら、管理人から(親が)怒られた。が、自分は「好奇心が強い」と言われてた気がする。そして、当然、頑張っていい成績とれば、褒められたので頑張った。成績がいいと、転校生ながら回りからも頼られるようになることもあり、好循環がうまれた。

 

小学校は、常に人に負けないように、人に褒められたいから勉強していた気がする。

 

②中高

中学校も最初は成績が良かったが、途中から悪くなった。単純に学ぶモチベーションが下がった記憶がある。正直学ぶ内容が面白いと思えなかったし、成績がいいだけで褒められることもなくなったからな気もする。

 

そのかわり、すごい本を読むようになった。小学校の時は活字が嫌いで、「ずっこけ3人組」くらいしか読んだ記憶がないが、中学校・高校で一気に本を読むようになった。自分で面白いと感じたことは、不思議と苦痛ではなかったし、もっと読もうという気持ちになった。ただ、高校3年では目の前の大学受験が迫り、再度、気合を入れ直し(浪人の末)大学に潜り込むことができた。

 

中高は、学校の授業についていえば、「目の前に迫る」「受験」が大きなモチベーションになった。 

 

③大学

最初の2年は教養課程だったので、理系から文系まで、どんな科目でも取ることができた。世間知らずの学生だった自分は将来のことも考えず、興味の赴くままに授業を履修した。大学院入試の時に取り寄せた成績表を見ると、物理や宇宙科学、地球科学の最新の知見を簡単に紹介する授業から、政治哲学っぽいゼミ(アメリカの民主主義とかを読んだ記憶がある)まで、本当に幅広い授業をとってた。教えた方のうまい下手はあったけど、学ぶ内容は知的に面白いものも多かった記憶がある。

 

中でも、個人的には経済学の授業がすごい面白かった。

 

後半は専門課程になった。経済学を専攻。ただ授業選択は、比較的興味の赴くままにとった。(当時も就職に有利なので、みんなが取った)ファイナンス系の授業はあまり取らず、ゲーム理論とか、Matlabで簡単な分析をする授業とかを取った記憶がある。(今は、ファイナンスも興味ある)

 

 

ということで、大学の「授業」で学ぶモチベーションは、「興味があるものを学ぶ」という傾向が強かった。今役にたっているものもあるが、何の役に立ったか分からないものもある。ただ、自分の思考が広がった気はする。

 

④社会人(学校の授業ではないので番外編)

社会人になって、一気に読む本の内容が変わった。マクロ経済分析とかエネルギーの仕事をするようになったので、アナリストが出してる指標の読み方の本だとか、エネルギーの簡単な解説をした本を、土日で読むようになった。「チャート式物理」とかも買った記憶がある。後は、「仕事ができる」ということの意味を知りたくて、ビジネス書も結構読んだ気がする。

 

モチベーションは完全に、「今に役立つか?」。知識がないと雑用しか出来ない傾向が強く、新しい分野でもキャップアップを求められるプレッシャーの強い職場だった。さらに個人的にも、分けの分からないまま言われた通りに動くことが嫌いなので、関連する知識とか、他の優秀な社会人は何をしているのかを学ぼうとした。

 

④SIPA

授業の選択する基準は常に、「将来役に立つか」になっている。興味のある授業は無数にあるが、将来自分が使いそうになる分野やスキルの授業を中心に選択している。「将来役に立つか」も「興味があるもの」に内包されるとおもうが、明らかに大学の時とは異なるモチベーションになっている。

 

大学の時は、「将来必要か?」をあまり意識していなかった。

 

「将来に必要なことを学ぶ」モチベーションは、ある分野を深堀することにつながり、「興味の赴くままに学ぶ」モチベーションは、世界を広げることに繋がる。「今、必要なことを学ぶ」は、分野の深堀であると同時に、学習効率が高い気がする。

 

「周囲の評価を気にした勉強」は、果たしてどうだろう。自分の場合は、中学校の一時期に何か喪失感のようなものを感じ、学びへのモチベーションをなくしたのは、「周囲の評価」を気にしすぎていたからな気がする。

 

社会人の最初の数年は、「今必要なこと」に追われていた。一方、今は「将来必要なこと」「興味のあること」を考え直し、学ぶ時間が大量にあり、このことが、留学することの意義なのだと、改めて感じている。

 

今必要なことを学ぶことに時間を使いながら、自分は将来何がしたいのか、自分は何に興味があるのか、を考えることが、軌道修正するのが、人生を実り豊かにするのかと、思う。

 

「学校の授業」だけが学びではないけど、今回はそのモチベーションの変遷が面白かったので、ここに焦点をあてた。