Management Practice(3)
過去2回の授業の紹介でも言った通り、この授業はself-awarenessを主な目的としている。今回は囚人のジレンマのゲームが授業に組み込まれていた。
【ゲームの概要】
- 4人ずつAとBの2つのチームがある。(60人近いクラスのなのでA/Bのセットが7個くらいできる)
- 10回ゲームを行い、点数の高い方が勝ち。
- 各回で、AとBはそれぞれ、青か赤を選べる。(どちらを選ぶかは、お互いに選ぶまでは見えない)
- 赤・赤、青・青、赤・青、青・青の各組み合わせに応じて、AとBに点数が入るのだが、その点数のセットがゲーム理論における囚人のジレンマになっている。(赤が信頼、青が裏切り)
- 4回目と8回目の後には、AとBの代表者が話す機会が与えられる。
【ゲームの結果】
- AとBの両方ともひどい点数のチーム、AとBともにそこそこのチーム、AかBのどちらかが異常に点数が高く、片っ方が異常に点数が低いチームに分かれた。
- 自分達の場合は、最初に自分達が信頼を選んだものの、相手が裏切りを選び、最初のコミュニケーションはまでは、当然相手を信頼できず、お互いに裏切るを選び続ける、という悲惨な結果だった
- コミュニケーションをとった後、本当に相手を信頼できるのか、疑心暗鬼で、チームでどちらにすべきかの議論が続いた
- 一方、あるチームは、最初から8回目まではお互いに信頼を選び続けたものの、9、10回目に片方のチームが裏切り、片方が大勝、片方が大敗するという結果になっていた。
【考察】
- 授業の後の先生も含めた考察の中で、一番の学びは、「限られた情報から相手の考えを類推する状況」が持つ危険性とそういう状況になった場合には、直接コミュニケーションをとる必要の重要性。
- ゲームでは、最初のコミュニケーションが起こるまでは、自分達は「相手が裏切った」という情報しかなく、「次も裏切るだろう」という思いしか抱かない。(コミュニケーションをとれば、すぐに解決できるのに)
- 状況として起こりうるのは、物理的には慣れているチーム。コミュニケーションの手段がメール等、対面以外の方法になりやすいので、限られた情報から相手の意見を類推してしまい可能性が高い。
- 実際、授業では、人間が認識する「今」は、「過去の自分の経験」と「自分の期待」が合わさって出来ており、そもそもバイアスが懸かりやすいことを学ぶ。
- メールの例でいえば、「一度印象の悪いメールを受け取ると、その人に悪い印象を持ってしまい」=過去、次にメールが来ても、「この人は悪い人だろうという期待」に基づいてそのメールの内容を判断してしまう。
- もう一つは、ゲーム理論の教えに正直だが、ゲームの終わりが見えると人は評判等を気にしなくていいので、裏切る可能性もあるので、とにかく長期的な関係を作ることが、結果として生産性を高めるということか。
- 今後、リンダ・グラッドンの「ワークシフト」によると、今後は、専門知識を持った人が、課題に応じてチームを組み、遠隔でコミュニケーションをとってくことが増えることを予想しており、まさに、このゲームで疑似体験していることが増える可能性があり、「不信を抱きそうな時は対面に近いコミュニケーションをとる」「長期的な関係の構築」を気をつけたい。