Cambridge MBAの目指すところ
「君の提案は我々のビジョンと合っているし、非常に面白い」
先日、あるメールをProgram Director に送付したことに対して、上記の返信をもらい、わずか15分だが、1対1で会う機会をもらえた。
送ったメールというのは、東大EMPプログラムを紹介する内容。
ケンブリッジ大学は、総合大学として非常に幅広い資産を有していながら、MBAはその資産を活かしきれていないことに問題意識を持っていたところに、東大EMPのことを思いだした。
このプログラムは、40代以上のシニアな人に対して、マネジメントの知識だけでなく、サイエンス系の科目の教育にも重点を置いている点に特徴がある(らしい)。
正直、総合大学としてはケンブリッジの方が優れた研究者・教育者がいると思うので、このコンセプトをCambridgeMBAに組み込めば、
①ケンブリッジ大学の資産をフルに活用したMBAプログラムとなり、他のMBAと差別化できる
②また、社会に出てからは特にサイエンス系の知識をキャッチアップしたり学び直す機会は少ないので、純粋に、教育効果も高い
というメリットを話してみた。
プログラム責任者も、基本的に長期の方針としては、
- 150名という今の少人数は維持し、出来れば学部にしている個別指導に近い形の教育をMBAに適した形に修正し、一部に取り入れる。
- ケンブリッジ大学の他の学部の授業を活かし、サイエンス系、社会科学系の授業をもっと取れるようにする
ということを考えているようで、事前に送っていた東大EMPのリンクも結構、熱心にみてくれており、「まさに我々がやりたいことに近い」という反応をしてくれた。
また、プログラム責任者が、ロンドンを中心に、色々な企業の幹部と話していて、従来のMBAに足りないものとして、上記のようなプログラムの必要性には賛同してくれているようで、企業側のニーズがあることは確信しているようだった。
個人的な懸念としては、東大は40代以上で、それなりに成功している仕事を持つ人が対象なので、長期的な視点にたった「教養」の重要性も認識し、腰をすえて勉強してくれる。
一方、仕事を辞めてきている人が殆どで、就活が最重要事項の一つであるMBAでは、上記のプログラムの魅力をアピールするのも難しい。
たとえ上記のことが実現しても、
- ランキングがすぐに上昇するわけではない
- 収入がすぐに上がるわけでもない
ので、実現しても、批判にさらされる期間がそれなりに続くのではないかと思うが、個人的にはこの流れを是非、応援したい。
また、単にダブルディグリープログラムの拡充だと、Education, computer science等、色々なダブルディグリーを提供しているスタンフォード等の米国のMBAと結局、同じになってしまう。
ただ、今回は何よりも、個人的には、ただの一介の生徒の無邪気な提案にも、時間をとって意見を聞こうとするプログラム責任者の姿勢に何よりも感動した。
また、後発のMBAとして、単に既存のMBAの後追いをしようとしているのではなく、独自の強みを活かした長期のビジョンを持っていることに安堵を覚えた。