【SIPA授業紹介】Economic of Energy
「SIPAは全然、個別の授業の紹介があんまりないよね」という貴重な指摘を受けたので、自分の頭の整理も含めて、まとめていきたい。
今学期の授業は今のところ、比較的に満足度が高いものが多いのだが、自分の経験と重なる分野でもある「Economic of Energy」(エネルギー政策専攻の必修の一つ)が、一番、考えさせられる瞬間が多い授業かもしれない。
教えるのは、政治経済学のPhDを持っており、Environmental Defend Fundという、市場メカニズムを用いた手法で環境問題や、人の健康問題の解決手法を提案し、実行のサポートをしている組織で、エコノミストをしている先生。キレキレな感じ漂い少し近寄りにくい印象があったが、メールは確実に24時間以内に帰ってくるし(TAにもそれを徹底している)、授業中の微妙な質問にも的確に返しているので、プロフェッショナリズムを感じる。
授業は毎回、「ビッグイシュー」が投げかけられ、それに対する答えの材料になりそうな経済学のツールであったり、考えが紹介されていく。授業の課題は、その質問に対する回答を関連する論文も読んでレポートにまとめること。
例えば、以下のような課題が投げかけられる。
- How do world market react when U.S oil consumption changes?
- Are we running out of oil?
- How to explain the 2007-2008 oil shock?
- Why don't we all use CFLs and drive hybrids?
- Can environmental policy lead to more poluution?
- How should we pay for demand response?
- What is the optimal carbon price?
- Where to from here? What does economics have to do with it?
4回目についていえば、有名なマッキンゼーのレポートで、省エネ機器を、CO2の限界削減費用が安い機器から順に並べたグラフが冒頭で示され、「なんで、経済的メリットがある省エネ機器もあるにも関わらず、その普及率は低いのか?」と、質問が投げかけられる。
これに対して、現在価値の考えをレビューした後に、予算制約の可能性、人々の認識能力の欠如、近視眼的な個人を仮定した割り引き率等が紹介され、これらに対して、現在、議論されている政策の内容(ピグー税、省エネ基準のようなもの)や、それらがどのような条件なら経済学的に正当化できるか、できないかが議論されていく。
最後に、「ここまで課題が分かり、有効な政策等の議論も進んでいるのに、なんで、それらは導入されないのか?」といった疑問が投げかけれ、授業が終わる。
一見すると自分で計量分析するわけでもなければ、実践的にどこかの国の制度等に詳しくなるわけでもないので、実践的でないように聞こえるし、そういう批判も聞く。
だが、個人的にはエネルギー政策に携わるのであれば、一度は考えを深めておいた方がいいと感じる質問が多い。知っていれば、シンクタンクや学者の方と議論する時に、より建設的に議論ができたのではないかと感じている。
ちなみに、最初のレポートを出す前に、ドラフト段階で先生にコメントを求めたところ、「良くまとまっているけど、もっと改善できる。特にまとめるだけじゃなくて、自分で考えたことも書いて」という修士2年目とは思えないコメントをもらってしまって、夏休みボケと時差ボケから一気に冷め、アカデミックモードに突入した。