【SIPA授業紹介】卒業プロジェクト
コロンビア大学SIPAでは、政府・NPO・民間企業を相手に、SIPAの学生数人でグループを組み、卒業プロジェクトをする必要がある。
クライアント一覧
https://sipa.columbia.edu/academics/capstone-workshops/mia_mpa?sort_by=field_client_name_value
自分はあるNYベースの企業をクライアントにしたプロジェクト。
石油業界では、石油精製所の稼働率が、マーケットを読む上で重要になる(らしく)、この会社は、この稼働率を予測できる指標の作成を行っており、その手伝いが、このプロジェクト。
プロジェクトの中味自体はそこまで、興味なかったのだが(今学期卒業するには、選択できるプロジェクトが事実上これだけだった。)、プロジェクトの経過が面白い。
※)なぜか、NDAにサインするように言われてないのだが、企業名と細かいプロジェクト内容を言うとまずい気がするので、ふせておく。
①クライアントには何を報告すべきか?
クライアントから、クライアントがある程度作成を進めていたデータを渡され、そこから作業を進めいたのだが、途中でそのデータが正確では可能性があることに気づいた。そのときのメンバーの反応。
メンバーA
「このまま作業を進めても仕方ないから、自分達の作業結果と、クライアントのデータに間違いがある可能性を報告しよう。」
メンバーB
「いや全部いきなり報告すると、クライアントから、新しい発注を受けたら面倒なので、一部だけ報告して、「間違えている可能性もあるので、続きの作業をすべきか」を相談しよう。」
メンバーC
「いや、クライアントは、このデータが間違えているとは思ってないし、そんな結果望んでないと思うので、ポジティブに解釈できる可能性を探ろう。」
- 自分の力(成果)を全部見せるより、ちょっとずつ見せよう。(その方が力を温存できて楽だから。)
- 何となくトラブルになりそうなことは、避けておきたい。
という、ことは日本特有ではないのかもしれない。(結果はAを採用。)
②丹念に拾ったデータの価値
上記の結果をクライアントに報告した際。最初のサマリーの報告では、
「おーありがとう。確かに何か変かもね。丹念に調べてくれてありがとう 」
と軽い感じだった。
ただ、こちらが細かく拾った(チームメイトが英語だけでなく、イスラム語や韓国語の情報まで含めて、源流に近いデータを拾ってくれた)データを見せていくと、さすがにクライアントも本気になってきて、
「今度、担当者とミーティングをセットするので、どこに間違いがあるのか、探して欲しい」
という依頼がきた。
その後、担当者と打ち合わせをしたのだが、
担当者が明らかに、神経質になっているのが分かる雰囲気で登場。
その姿に、SIPAのチーム一同、最初はものすごい様子をみながら会話を進める。
- お前のデータは間違えてるのでは?
- どこが間違えてるのかを聞きにきた!
などとは聞かず、
- 自分達でもデータを簡単に作成してみたので、確認してもらえないか?
- 素人で、おかしな点があるかもしれないので、教えて欲しい
というスタンスを取る。
すると、徐々に、担当者も落ち着き、
担当者の持つデータセットと、こちらのデータセットを丹念に照合していき、何となく、クライアント側のデータに誤りがある可能性が明らかになった。
(結果、プロジェクトの課題として、
「クライアントがデータを作る過程のどこに問題があるのか?」
という、当初とは全く違う内容のことを、依頼されて今に至る。
短期的には都合悪く摩擦が起きそうだが、長期的にはお互いのためになることの場合、
- コミュニケーションは柔らかく(無駄な所で相手を刺激しないため)
- でも、ファクトとロジックは詰めて、相手が徐々に納得できるように出していく。
- 担当者だけでなく、責任者にも確実に巻き込む
というのは、米国でも同じなのかなーという学びになった。
最初はローキー気味だったが、「どこにでも学びはある」というのを改めて学ぶ、こととなった。
※)ちなみにこのプロジェクトは結構特殊なプロジェクトで、正式な時期のプロジェクトであれば、途上国に実際に行ったりするプロジェクトもある。また、もっと公共政策寄りのプロジェクトも多数あります。また、プロジェクトのスコープも、普通はもう少し広いものになるかと思います。