Columbia(MPA) to Cambridge(MBA)

コロンビア大学(SIPA)、ケンブリッジ大学(MBA)の留学体験記です

Management Practice(4) & CVP

今回のキークエスチョンは、

 

 

  1. 異なる文化を持つ人の特徴と、彼ら/彼女らが同じ職場で働いた場合に何が起こるのか?その対処方法は?
  2. うまくインセンティブ設計されてない組織でいかに異なる部門間が協力し合うことが難しいか?

 

1について

「Self-Awareness」が大きなテーマのケンブリッジMBAでは、「これぞ!」という授業。

 

授業では、「ステレオタイプにならず、各個人の特徴を理解するのが重要」という大前提を置いたうえで、文化毎の人の特徴を議論していった。

 

大きな括りはHigh ContextかLow Contextか。

  • High Contextな文化は、比較的閉じた社会で、長い歴史の中で築かれる傾向がある。(日本、ブラジル、中国等)
  • コミュニケーションはIndirectな傾向
  • 関係構築も、仕事の成果を出していくまえに、まずは個人ベースで関係を構築するのが大切。
  • 契約関係も「High-Context」であり、細かいところまでは決まってない。

 

一方、

  • Low Contextな文化は、Openな社会で築かれる傾向がある。(代表例はUS。Dutchも例に挙げていたが、自分は良く知らない)
  • コミュニケーションはdirectで、関係構築も、「Task-based」になる傾向。

 

【対応方法1】

  • この異なるバックグラウンドの人が同じチームになると、当然、Conflictが起こる。事前リーディングでは、その解決策がいくつか提示されていたのだが、その方法の一つは、なんと「同じ文化を持つ人同士の細かい集団に分けること」
  • 「そんなのあり得るのか?」と感じたが、実は、これと平行して行っているCVPというベンチャー企業へのコンサルティングプロジェクトでは、「欧米の人」「アジア系」で完全にタスクを分けてしまっているので、意識しないうちに、この手法を使ってしまっていることなる。
  • この場合、二つに分かれている間はいいが、最後に一つのアウトプットになる場合には再びConflictが起こる可能性が高い。
  • 今回のプロジェクトでは、最後のConfilctを如何にのりきるかも、学んでみたい。

 

【対応方法2】

  • もう一つ面白い対応方法で、「各特徴が活きる方法」を採用すること。
  • 具体例としては、計画的な民族は危険を事前に詳細に予想して乗り切ろうとする。一方、危険に遭遇した場合にも、慌てずにその場で冷静に判断して乗り切れる民族もある。
  • 飛行機の事故防止を考える場合、前者に「危険防止のためのマニュアル」の作成に集中してもらい、後者は危険な場面のシュミレーションを体験し、どのような心理状況でどう対応するのかを計測して、それを共有できるようにする。
  • こんなにうまく行く場合ばかりではないと思うが、「異なるスタイルの人」を「自分と同じ尺度で評価せず」、「違うものは違うものとして受け入れ」、「その違いを活かすこと」をいかにできるかを、引き続き、MBAで考えていきたい。

 

2について

これはケンブリッジMBAのこの授業ではおなじみのゲームを通して。

 

【ゲームの構造】

  • 10チームに分かれる。
  • 各チームに情報とタスクが渡される
  • 各チームはそのタスクを解けば「暗号」が入手できる仕組みになっているが、そのタスクを解くためには、他のチームから情報を入手する必要がある。(当然、相手のチームがタスクを解くためには、相手に情報を渡す必要がある)
  • どこかのチームが間違えた「暗号」を答えたとして、先生に報告してしまうとその時点でゲーム修了。
  • 正しい答えを報告できれば、全チームに賞金が入り、その分け方はこちらの裁量。

 

 【ゲームの結果】

  • 1つのチームが途中から、自分達が勝ちたいがために、他のチームに情報を渡さなくなった。
  • 1つのチームが途中から、 自分達が勝ちたいがために、他のチームに嘘の情報を渡すようになった。
  • 一つのチームが、それらの情報に基づいて暗号を解いたため、間違えた「暗号」を報告してしまい、修了。

 

【考察】

  • このゲーム、絶対に全チーム協力した方が得なはずなのに、途中から自分のチームが勝つことを優先し始めたのはなぜかが、ポイント。
  • チーム間の競争の部分もあるのだから(最後の賞金の裁量が大きいということだろうか)、自分のチームの勝利を優先させるのも当然だ、という意見があった。一方で、「協力すべきゲームなのに、協力しない奴がいるとしらけるし、やる気なくなる」とラテン系の人。
  • また、自分達のチームは、そもそも、全員がタスク(ゴール等)を共有できないまま、自分が持っている情報だけで、タスクを解こうとしてしまったため、非常に効率が悪く、全く貢献できない人、強引に仕切ろうと大声を出す人、黙々とタスクを解こうとする人に分かれてしまい、最後は大分に気まずかった。

 

【現実へのアプリケーション】

  • この状況は、大きな組織で各部門間がうまく協同できない状況を再現しようとしたものだとのこと。
  • そして、組織全体のインセンティブ設計をうまくしないと、各部門が協力しあう体制には出来ないと。(OBでならうような、ミッションの共有、個人と組織全体の給与体系のあり方等)
  • つまり、個人が自分勝手な行動に走るのは個人のせいではなく、組織設計のせい。
  • また、各ナショナリティによる違いも考慮する必要がある。(例えば、ラテン系やアジア人は比較的にコミュニティ意識が強いので、一度、同じチームになれば、協力し合うとする傾向に強い。一方、Independentな傾向が強い組織では、その傾向に弱い等)
  • さらに、目の見えるチーム内でも、各個人が自立的に動き、かつ、効率的にゴールを達成するためには、「ゴールを共有」し、「全員がある程度、そのチームの戦略を知っている必要がある」。