Hult Prizeからの学び
Hult Prizeという社会起業コンペに参加した。
お題は、「スラム街の幼児教育を改善するビジネスプラン」
残念ながら、地区予選で敗退したが、学びを忘れないうちにメモしておきたい。
- チーム
- 言い古されて、文章にすると陳腐に感じるけど、これはほんとうに大事。
- 「多様生」が大事と言われるが、「目的」を達成するためのチームである以上、単に異なる人がいればいいというだけではなく、目的を達成するための手段等と整合性のある多様生である必要を感じる。
- チームメンバーの文化的バックグラウンド
- 当然、育った環境が違えば、快適に感じる議論の仕方、間の取り方等が異なる。
- 自分は、「スラム街の幼児教育」というテーマを考え、スラム街のことを良く知ってそうなインド人2人、パキスタン出身(のカナダ人)とチームを組んだのだが、これは吉と出た面、凶と出た面の両面あった。
- 吉と出たのは、その人の知り合い等にお願いし、実際にスラムのインタビュー等ができたこと。
- 自分にとってだが「凶」とでたのは、ひたすら話続けるインド人式の議論についていくのに最後まで苦労した。。
- スキル的なバックグラウンド
- 自分達のチームには、この面での多様生が欠けていた。
- ファイナンス、ビジネス、スラムの知見を保有者はいた。
- 一方、個人的には幼児教育の専門家がいなかった。
- 外部に色々とアドバイスを求めたが、細部を詰めていけなかった原因の一つではないかと思う。
- 役割??
- 専門知識/文化的なバックグランドとは関係なく、チームで得意な役割が、人によって異なることが多い。
- どんどん面白アイディアを出すのが得意な人、
- ファシリテーターが得意な人、
- ドライブしていくのが得意な人
- 分析的に考えるのが得意な人
- とにかく完成させるのが得意な人
- それぞれが、プロジェクトのどの段階にいるかで、必要性が異なるので、どのフェーズで何が重要かをお互いに理解し合い、その役割の人が自然とリーダーシップを取れるようにすることも大事であるように思う。
- 専門知識/文化的なバックグランドとは関係なく、チームで得意な役割が、人によって異なることが多い。
- パッション
- これも、書くと陳腐だけど、大事。
- 問題設定
- 善戦していたチームは、どこも問題設定が非常にクリアであるように感じる。
- 善戦したチーム
- 「スラムの児童は、母親から本の読み聞かせの時間が足りないのが問題」、
- 「幼児教育の手法は既にそろっている。足りないのは、スラムに関する正確なデータ」
- そうでないチーム
- 「世界では◯◯人のスラムに住む児童が幼児教育を受けられてない」
- スラムに住む児童は、十分な幼児教育が受けられてないので、小学校に上がるとドロップアウトする確率が高い。
- 善戦しているチームは、なぜスラムの児童が教育を受けられてないのか、受けていても現状のどこに問題があるのか、という「なぜ」を、ある程度、掘り下げているので、それに対する、解決策の提供も、具体的で、説得力がある。
- ちなみに自分達の問題設定は、「スラムの幼児教育が十分でないのは、母親の経済力の問題、母親の幼児教育の重要性の認識の欠如」という点に絞ったので、この点は良かったのではないかと思う。
- 善戦していたチームは、どこも問題設定が非常にクリアであるように感じる。
- プレゼン力
- 自分が「説得された」と感じるプレゼンは、大体、以下の流れで構成されたように思う。
- ストーリーテリングに基づき、エモーショナルに問題提起
- (簡単に問題を再整理(データ等))
- 解決策を一言で言い切る。
- 解決策の仕組みを説明
- (なんで、Hult Prizeの優勝賞金が必要か)
- で、いくら儲かるの?(ビジネスモデル)
- 実行力!(チーム、協力先、拡大の仕方等)
- Q&A(質問への回答は短く、完結に)
- ボディーランゲージ
- 終始、自信を持つ
- 抑揚をつける(子供の頃の嫌な思い出ならしんみりと、何か数字を強調したいなら、テンポ良く等(誰もダラダラと数字の説明を聞きたくはないので))
- 会場をゆっくりと歩きながら、順次、聴衆に目を合わせていく
- 手は極端に動かさない。
- 自分達の敗因の一つは、このプレゼン力。アイディアを考える時間に時間を取り過ぎ、プレゼンの練習をする時間を十分にとれなかった。
- 自分が「説得された」と感じるプレゼンは、大体、以下の流れで構成されたように思う。
- コンテンツ=テクノロジー+リアルの融合
- ほぼ全てのアイディアは、何かしらのテクノロジー(特に携帯)の使用を前提としている)
- ただし、テクノロジーを、現実的な課題の解決に資するように使う。
- 子供を預けたい母親と、子供を預かるかわりに収入を得たい女性のマッチングを携帯上で行うサービス
- 子供が読みそうな本を、全てクラウドに保存し、携帯から聞けるようにする。
- (正確な情報に欠けるスラム街の幼児)に対するデータを取得するために、携帯を利用する。
- 自分達のアイディアも、携帯のSMSを利用した情報提供(幼児教育の重要性の認識の向上)、地元の教育機関、企業と協力した母親の職業訓練と職業紹介の実施、途上国進出に興味ある企業へのコンサル、の機能を持つ、プラットフォームを作ることが目的だった。
- アイディアとしては悪くないと思っているが、多数のことをカバーしているために、焦点がボケてしまい、プレゼンで何がやりたいのかを明確にできていなかったのかが、やや敗因ではないかと思う。
- 社会起業とは?
- 「社会起業」というと、「結局、普通のビジネスと何が違うの?」「お金を集めるためのブランディング?」とシニカルにみる人から、「新しい潮流」と肯定的にとらえる人、どちらにも今まで出会ってきた。
- 今回、審査員として、来て頂いていた方が、このことについて、非常に納得感のあることを言っていた。
- 社会起業という言葉にそれ程、興味はない。
- 自分が問題だと感じることについて、
- 「持続可能」(=利益を出して、自走できるということも含む)で、物事の仕組みを変えていくような、
- 解決策を作って行く事に興味がある。
- 自分が感じる問題が、大勢の人も問題だと感じることであれば、社会起業/企業だと、最近は呼んでいるではないか
- コンペの意義??
- アントレで有名なケンブリッジMBAの先生が、インパクトのあるビジネスアイディアは、「他の人が成功しないと思っているけど、実はニーズのあること」に着目することが大事だと言っていた。
- これは、ピーターティールが近著でも言っている、「賛成する人がほとんどいない、大切な真実はなんだろう?」という質問にも通じることであると思う。
- 一方、こういうビジネスコンペとなると、複数人の審査委員が選ぶ以上、どうしても、「賛成する人が多い」アイディアが優勝してしまう傾向にある。
- おまけに、アイディアを実行に移す前の段階で、その大勢の人にアイディアを晒してしまうことにもなる。
- と、学びが多かった反面、ネガティブな面も色々と感じてしまった。
- 実は、母校である東京大学からも出場していたらしいが、最後まで会う機会がなく、声を欠けそびれたことが心残り。
- 30歳近いおっさん?と話しても向こうは嬉しくないだろうけど。。